歯科矯正用アンカースクリューとは国際的にTAD(Temporary Anchorage Device)と呼ばれています。
直径1.3〜2.0mm前後×長さ6.0〜10.0mm前後のチタン合金製の微小なスクリュー(ネジ)です。
歯科矯正用アンカースクリューは歯茎の歯槽骨部に埋入後、
硬く動かない骨に直接結合します(オッセオインテグレーション)。
その後、前歯を後ろに下げてくるための固定源として使用されます。
よって、矯正治療において望ましくない
反作用(奥歯が前にくる)をキャンセルして望ましい作用(奥歯が後ろに下がる)だけを行える画期的な矯正装置です。
歯科矯正用アンカースクリューを絶対的な固定源(不動の固定源)と呼びます。
よって、治療期間の短縮、精密で質の高い矯正治療および治療の確実性の向上を実現することができます。
また、歯を抜かずに治療計画に向けて達成できる可能性も広がりました。
その結果、従来の矯正治療と比較して矯正治療の限界幅が飛躍的に広がったと言えます。
従って、歯科矯正用アンカースクリューを用いることで、
患者様の負担の軽減および安全性の確保、矯正治療のシンプル化かつ効率的化および質の高い治療結果へと導くことができるようになりました。
歯科矯正用アンカースクリューは植立のときは局所麻酔を行います。
また、矯正治療後は無麻酔で外すことができます。傷も全く目立たなくなりますのでご安心ください。
当クリニックの歯科矯正用アンカースクリューの特徴
青山表参道矯正歯科クリニックでは歯科矯正用アンカースクリューを積極的に使用します。
患者様にできる限り負担なくかつ矯正治療の質を最大限まで高めて矯正治療を提供しています。
歯科矯正用アンカースクリューは基本的には
ワイヤー矯正(表側矯正、裏側矯正)と併用されることが多いです。
ですが、当クリニックでは歯科矯正用アンカースクリューとマウスピース矯正との併用も行っております。
当クリニックに在籍している矯正歯科医は
歯科矯正用アンカースクリューの症例数が多いため、ご安心して矯正治療を受けていただけると思います。
歯科矯正用アンカースクリューの登場で変化した矯正歯科の歴史
歯科矯正用アンカースクリューは1990年代後半に導入されました。
歯科矯正用アンカースクリューが登場するまでの矯正治療では、歯を抜歯したスペースに前歯を引っ込めるために
顎外固定装置としてヘッドギア、顎内固定装置としてトランスパラタルアーチ、リンガルアーチ、ナンスのホールディングアーチおよびリップバンパー
などの違和感の強い固定装置を固定源として用いる必要がありました。
しかし、歯科矯正用アンカースクリューの導入によって、これらの固定装置を用いる機会がほとんどなくなりました。
歯科矯正用アンカースクリューを用いることで、歯の難しい動きや外科手術が必要なケースにおいても手術を回避して矯正治療ができるようになりました。
特に、ガミースマイル、開咬、咬合平面の傾きを変えるなどの症状に対して非常に効果的です。
埋入時には局所麻酔が行われますが、麻酔の量は非常に少なく、抜歯の時の1/10程度です。処置自体も5分程度と短時間で終了します。
アンカースクリューの注意点
アンカースクリューの使用には約10%の確率で脱落する可能性があります。
また、口腔内が清潔でないと感染が起こりやすいため、歯科矯正用アンカースクリュー周囲の歯茎が炎症を起こして脱落リスクが高まります。
アンカースクリューを清潔に保つようにしましょう。
治療終了後はアンカースクリューは取り外されて顎骨も再生します。
アンカースクリューの取り外しは、歯科矯正治療が終了したタイミングで行われますので、ずっと刺さりっぱなしという心配はありません。
歯科矯正用アンカースクリューを用いるメリット・デメリット
矯正治療でアンカースクリューを用いるメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・動かしたい歯だけを動かせる ・難しい歯の移動にも対応できる ・顎内固定装置や顎外固定装置の使用を控えられる ・抜歯を避けられる可能性が高まる | ・歯科矯正用アンカースクリューが脱落する可能性がある ・再埋入が必要になることもある ・歯根を傷つける可能性がある ・歯科矯正用アンカースクリューの周囲に炎症が起こる可能性がある |
ここからはさらに詳しくメリットとデメリットを紹介します。
歯科矯正用アンカースクリューを用いるメリット
歯科矯正用アンカースクリューを用いると、
奥歯(臼歯)の動きを抑えつつ前歯を後方に引っ張るなど、動かす必要がある歯だけを動かして矯正治療をスムーズに進められます。
また、奥歯を歯茎の方へ押し込んだり(圧下)、後方へ移動させたり(後方移動)など、
これまで難しいとされていた歯の移動に対応できます。
さらに従来であれば外科矯正治療が必要な患者様でも手術なしで矯正治療ができる可能性もあります。
患者様自身でつけ外しするヘッドギア(顎外固定装置)などの装置は装着時間が長く確保しなければなりません。
なので、特に大人の患者様は時間の確保が難しいため、矯正治療が進まないこともありました。
ですが、歯科矯正用アンカースクリューを用いることで、顎外および顎内固定装置を着脱する必要が少なくなりました。
抜歯が必要なケースでも抜歯をせずに矯正治療できる可能性が高まるなど、患者様の負担が少なくて済みます。
歯科矯正用アンカースクリューを用いるデメリット
歯科矯正用アンカースクリューは、歯科医師が十分に注意しても緩んだり抜け落ちたりする可能性があります。
その場合は、再埋入が必要となることがあります。
ごく稀に、埋入時に歯の根っこ(歯根)を傷つけてしまう可能性もあるため、
歯科矯正用アンカースクリューの経験値の高い矯正専門の歯科医師の治療を受けることが非常に大切です。
また、歯科矯正用アンカースクリューがどうしても定着しにくい場合は、従来の矯正装置で対応する可能性がある点にも注意が必要です。
患者様の口腔内の衛生状態によっては、歯科矯正用アンカースクリューが脱落しやすくなるだけでなく、炎症が起こる場合もあります。
歯科矯正用アンカースクリューの使用が必要となるケース
アンカースクリューは以下のような場合に必要です。
- 歯並び全体を後方に動かしたい
- ガミースマイル
- 従来の顎外および顎内固定装置の使用を避けたい
従来は抜歯が必要だったケースでも歯並び全体を後ろへ移動(後方移動)させることで歯が並ぶスペースを確保できることがあります。
その場合は、歯科矯正用アンカースクリューを用いて抜歯せずに治療を進めていきます。
他にも、ガミースマイルの治療では歯科矯正用アンカースクリューを用いて上顎の前歯を上方へ引き上げる(圧下)ことで歯茎を目立たなくさせることも可能です。
また、顎内および顎外固定装置を使用せずに矯正治療を行ったりなど、さまざまなケースで歯科矯正用アンカースクリューを多用します。
治療の流れ
まずは患者様の歯並びや咬み合わせのお悩みをしっかりヒアリングさせていただきます。その後、口腔内写真、顔面写真およびレントゲン画像を撮影します。
それらを元に治療法や費用、治療期間など患者様の疑問にお応えいたします。
より正確な治療計画を立案するために、パノラマ、セファロのレントゲン写真に加え、
CTの撮影、最新型の3D口腔内光学スキャナーiTEROを用いた三次元的な口腔内診査などの精密検査を行い口腔内の詳細な情報を集めていきます。
そのうえで口腔内の状態を詳しく分析して治療方針を立案いたします。
精密検査の結果およびこれから行っていく矯正治療のご説明をさせていただきます。
さらに、3Dシミュレーションにより歯の動きや最終的な咬み合わせなどについてもわかりやすくご説明いたします。また、患者様のご希望があれば可能な限り最優先させていただきますので是非ご相談ください。
マウスピース型矯正装置の場合は、口腔内3Dスキャナーで撮影した患者様個人個人の正確な情報をもとにマウスピースを制作します。
いずれの場合も患者様ご自身でのケア方法や治療期間中に注意すべき点などについてしっかり説明させていただきます。
1〜3か月ごとに矯正治療の進み具合を確認して歯科衛生士によるブラッシング指導および口腔内のクリーニングを行います。
矯正装置を外します。
治療計画および患者様が目標とする歯並び、咬合を確立したら後戻りしないように歯の位置を保定する期間に入ります。
保定期間は矯正治療期間のような違和感などはほとんどありません。
歯形を取り矯正治療後の歯列に合わせて保定装置(リテーナー)を制作します。
矯正治療にかかった期間と同期間程経過を見ていき、歯並びが安定したら保定期間を終え全体的な治療が終了です。
料金
歯科矯正用アンカースクリューTADs(Temporary Anchorage Device)
アンカースクリュー | 無料 |
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