「直ピ」とは?マウスピース矯正専門クリニックに潜むリスクと賢い歯科選び
近年、マウスピース矯正の人気が高まる一方で、消費者庁が注意喚起を行うなど、矯正治療を巡るトラブルも増えています。特に最近、歯科業界では「直ピ(ちょくぴ)」と呼ばれる新しい問題が指摘されています。
この記事では、「直ピ」の意味や背景、患者さんが安全に矯正治療を受けるための注意点について、日本矯正歯科学会認定医である森崎彰将先生の見解も交えながら詳しく解説します。
「直ピ」とは?マウスピース矯正専門クリニックにすぐ就職する若手歯科医師
「直ピ」とは、歯科医師免許取得後、十分な矯正治療経験を積まずに、すぐにマウスピース矯正専門クリニックで勤務を開始する若手歯科医師を指す造語です。
この言葉は、日本矯正歯科学会認定医である森崎彰将先生によって名付けられました。医療界で問題視されている「直美(初期研修後すぐ美容医療に進む医師)」から着想を得たものです。
なぜ直ピが増えているのか?
マウスピース矯正市場の拡大
インビザラインをはじめとしたマウスピース矯正は、目立たず快適に治療できる点から人気が高まっています。そのため、マウスピース矯正専門クリニックも急増し、若手歯科医師の就職先として選ばれるケースが増えました。
短期間でのキャリアアップ志向
専門医取得には長い研修と厳しい試験が必要ですが、マウスピース矯正専門であれば比較的早く独り立ちでき、高収入を得られるという点も「直ピ」が増える背景にあります。
直ピがもたらすリスクとは?
矯正治療の本質的な理解不足
本格的な矯正治療には、骨格性不正咬合や複雑な症例に対応するためのワイヤー矯正や外科的矯正の知識と経験が必要です。しかし直ピ歯科医師は、こうした訓練を十分に受けていないため、マウスピースのみで無理な治療を進めるリスクがあります。
患者利益が損なわれる可能性
適応外の症例に対してもマウスピース矯正を行い、治療結果が不十分になったり、再治療が必要になったりするケースが懸念されています。
マウスピース矯正詐欺事件にも注意
近年では、十分な診断もせずにマウスピース矯正を勧める悪質な業者やクリニックによるトラブルも報告されています。消費者庁も、契約前の説明不足や、治療完了までのサポートが不十分な事例に警鐘を鳴らしています。
安心して矯正治療を受けるために|歯科医院選びのポイント
- 日本矯正歯科学会認定医や指導医が在籍しているか確認する
- ワイヤー矯正も含めた総合的な診断ができるクリニックを選ぶ
- カウンセリング時に治療計画を丁寧に説明してもらえるかをチェックする
- 費用や治療期間について、書面で明確に説明があるか確認する
矯正治療は見た目だけでなく、かみ合わせや将来の歯の健康に直結する大切な医療行為です。慎重に歯科医院を選びましょう。
まとめ|流行に流されず、確かな治療を
マウスピース矯正は素晴らしい選択肢の一つですが、誰にでも向いているわけではありません。直ピ問題や矯正詐欺事件を他人事と考えず、正しい知識を持った信頼できる歯科医師を選ぶことが、理想の歯並びへの第一歩です。
矯正治療を検討している方は、焦らず、信頼できるクリニックと歯科医師をじっくり選びましょう。
この記事は、日本矯正歯科学会認定医・森崎彰将先生の提唱する「直ピ」の概念を参考に作成しました。