ミューイングと歯並びの関係性は?正しいやり方と注意点・コツも紹介
ミューイングとは、近年世界中でブームとなっている口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)の一部です。正しい方法で根気よく続ければ、顔の筋肉と骨格のバランスを改善する効果が期待できるだけでなく、歯並びにまでよい影響を与えるとされています。
矯正治療を受けている患者様の中には「ミューイングで歯並びが治るって本当?」「そもそもミューイングって何?」など、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)とは一体何なのか、歯並びの関係性について知りたい患者様も多いのではないでしょうか。
この記事では、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)とはどのようなトレーニングなのか、歯並びとの関係性などについて紹介します。正しいやり方や注意点も解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)とは
近年話題の口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)。SNSでもよく見かけることから、目にしたことがある患者様もいるかもしれませんが、具体的にどのようなものでどのような効果があるのか知らない患者様も多いようです。
ここでは、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)の基本的な情報や効果などについて詳しく紹介します。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)とは舌(舌筋)とお口周りの筋肉(口腔周辺筋)のトレーニングのこと
『口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)』とはイギリスの矯正歯科専門医であるマイク・ミュー先生が提唱する”お口周りを取り囲む口輪筋・頬筋・上咽頭収縮筋・舌筋などの筋肉のバランス(バクシネーターメカニズム)を整えるトレーニング”のことです。
また、アメリカの筋機能療法システムマイオファンクショナルセラピーMFT第一人者であるジックフーズご夫妻が提唱したものです。お口周りの筋肉と舌の位置と姿勢を正すことで、顎と顔面の正常な発達を促進するとされています。
普段の生活の中で食事をしたり喋ったりしているだけではあまり意識することはありませんが、舌はほとんどが筋肉でできているため、筋力が衰えると舌骨と共に顔まわりの筋肉も下がってしまい健康面にさまざまな悪影響を及ぼすこともあります。
そこで舌の筋力を鍛える口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)を取り入れれば、筋力がアップして顔まわりを引き締めるだけでなく、二重顎やほうれい線などのたるみやゆるみを予防したり口呼吸を改善したりできる可能性があります。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で使うのは「オトガイ筋」などの筋肉
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)では、『オトガイ筋)』と『顎舌骨筋』、『口輪筋』、『頬筋』、『舌の筋肉』を使います。
以下は、それぞれの役割です。
①オトガイ筋(顎の梅干しの種のようやシワが出来る部分)には、以下のような役割があります。
- 顎を押し上げる
- 下唇を押し上げる
- 顎先の皮膚を内側
- 上に引っ張る
- 上唇を突き出す
オトガイ筋があることで、あごのたるみを予防できます。
②顎舌骨筋(顎下の真ん中を通っているアルファベットの「U」のような形をした部分)
飲み込む時に舌を上にあげる筋肉です。
③口輪筋(口の周りを囲んでいる部分)
口を閉じる・唇を突き出す・口角をあげる筋肉です。口輪筋があることで、口元を若々しくします。
④頬筋
口角を外側に引き上げる・頬を歯並びに押し付ける・頬を膨らませる・吸うなどの役割があります。ほおをきゅっと引き締めます。
⑤舌の筋肉
食べる・飲む・呼吸する・話すときに使い、生きるために必要な筋肉です。
加齢や生活習慣などの影響でいつの間にか衰えて口腔内や顔まわりに悪影響を及ぼしてしまうため、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で鍛えることが大切です。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で期待できる効果とは
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)には、以下のような効果が期待できます。
- 顔を引き締めてほうれい線や口元のたるみを解消する
- 歯科矯正とMFTを併用することで顔のE-lineが整う
- 舌が上に持ち上がることで二重顎を予防できる
- フェイスラインをきれいに整える
- 口呼吸が改善する
- 姿勢が整って体形がスッキリする
- 睡眠の質が向上する
- 顎関節への負担が軽減される
- 口腔機能が改善して歯の健康が保たれる
- 顎の発育が促進されて歯列が安定する
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で正しい舌の位置と姿勢を保つことで、ほうれい線やたるみの改善、フェイスラインが整うなどの美容面での効果に加えて全身の健康面にもよい影響を及ぼすことが期待できます。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)と歯並びの関係性
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は美容面や全身の健康面への効果が期待できるだけでなく、口腔機能および歯並びにも影響するとされています。
舌を鍛えることと歯並びは一見関係ないように思えますが、実際にはどのように関係しているのでしょうか。ここでは、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)と歯並びの関係性について詳しく紹介します。
歯並びが悪くなる原因
歯並びが悪くなる原因には、様々な要因がありますが、大きく「先天的原因」と「後天的原因」の2つに分けられます。
先天的原因とは出生前に原因があるものです。
①遺伝
ご両親の顎や歯自体の大きさによって歯並びが悪いとお子様にも影響が出てくる場合があります。
②先天異常
口唇裂や口蓋裂などの先天異常がある場合、歯並びが悪くなることがあります。
③歯の本数の異常
過剰歯(通常の歯の本数よりも多く形成された歯)や欠如歯(本来あるべきだが形成されなかった歯)によって、歯並びがガタガタになったり、歯と歯の隙間が開いてきたりします。
④歯の形の異常
巨大歯(通常の歯よりも大きな歯)や矮小歯(通常の歯よりも小さな歯)があると歯並びがガタガタしたり、歯と歯の間に隙間ができたりします。
後天的要因とは出生後の原因です。
生活環境によりお口まわりの筋肉などの機能不全が起こってしまったり、正常な顎の発達や呼吸、発音、咀嚼、嚥下(飲み込み)が正しく行われず、歯並びが悪くなる場合があります。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は歯並びの安定に影響する
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は歯並びの安定にもよい影響を与えます。
通常であれば、舌は上顎の歯並びの内側(スポット)にピッタリとくっついて収まっているものです。
しかし舌が正しい位置よりも下がっている『低位舌』の状態になると、舌が気道の方に入り込んで気道が狭くなり息苦しくなってしまいます。
すると息苦しい状態からなんとか脱しようと下顎を前に突き出して呼吸をしやすくする癖がついてしまうため、下顎が前に突出したような顔貌や受け口になってしまう可能性もあるでしょう。
また、低位舌は上顎の歯列を狭くして叢生(そうせい)、いわゆるガチャ歯になりやすい状態を作り出してしまうことも。
本来であれば舌が上顎の歯列を広げるように内側から圧を加えますが、舌が下がっていると上顎がきちんと成長せず歯列が狭くなって不正咬合につながってしまいます。
舌を正しい位置に戻すには、舌を持ち上げる筋力と舌を上顎につけやすい環境にすることが大切です。
そこで口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で舌を正しい位置に保てるようにすれば、舌によって顎や前歯に余分な力がかからなくなるため、自然と歯並びが正常な位置に動いていく可能性があります。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は幼少期から始めるのが理想
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は顎の骨が成長する幼少期から始めるのが理想です。
特に上顎の成長がピークを迎える6歳からの成長期は、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)を行うために適した時期だといえます。
下顎は上顎を追うようにあとから成長するため、6歳から下顎の成長が終わる15〜18歳頃までの間に口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で顎の正常な発達をはかることで、よい歯並びと咬み合わせを手に入れられるでしょう。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で予防・改善が期待できる歯並び
歯並びが悪くなる原因には生まれつきの骨格によるものもありますが、指しゃぶりなどの癖によるものもあります。
中には、舌が正常な位置に収まっていないことで筋肉が正しく使われず不正咬合(歯並びや咬み合わせが悪い状態)になってしまうこともあるため、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で舌を正しい位置に収められるようにすることが重要です。
では、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)では具体的にどのような歯並びを予防・改善できるのでしょうか。
出っ歯(上顎前突)
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は出っ歯、専門的な言葉でいうと『上顎前突(じょうがくぜんとつ)』を予防・改善できる可能性があります。
出っ歯(上顎前突)は遺伝の他に指しゃぶり、舌で前歯を押し出す悪習癖および口呼吸などが原因で起こる不正咬合です。
すべてのケースではありませんが、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)を行えば出っ歯(上顎前突)の原因である悪習癖や口呼吸を改善できるため、少しずつ出っ歯(上顎前突)が改善していく可能性があります。
受け口(反対咬合)
受け口(反対咬合)も口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)を行うことで予防・改善できる可能性があります。
食べ物をうまく咬み砕けない、うまく飲み込めない、発音が不明瞭になるなど日常生活で支障が出やすく、見た目がコンプレックスになりやすい歯並びであるため、早めに対策しておきたい不正咬合です。
原因は遺伝、下顎を前に突き出す悪習癖および口呼吸などさまざまですが、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で舌が正常な位置に収まるようにすることで改善できる可能性があるでしょう。
開咬
開咬(かいこう)とは『オープンバイト』とも呼ばれる不正咬合のことです。
奥歯は咬んでいても前歯が咬み合っておらず上下の前歯の間に隙間があいている状態で、遺伝、幼少期からの指しゃぶり、舌を押し出す悪習癖および口呼吸などが原因で起こります。
開咬の治療は難易度が高く矯正治療などで治しても再発してしまう可能性があるため、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)で舌を正しい位置に収めて開咬の原因を作らないよう努めることが大切です。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)の正しいやり方と注意点・コツ
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は特別な道具を用意する必要もなくマスクをしたままで手軽にできるため、ぜひとも取り入れていただきたいトレーニングですが、正しい方法で行わなければ効果を得ることはできません。
そこでここでは、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)の正しいやり方と注意点、コツについて詳しく解説します。
正しいやり方
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は舌を正しい位置に置くだけの簡単なトレーニングです。具体的には、以下の方法で行いましょう。
- 姿勢を正して下顎を少し引く
- 舌の先端を上顎の歯の裏側に密着させ、そこから少しだけ後方に引く
- その状態から舌全体を上顎のボコっとへこんでいるところに向かって押し上げる
- この状態をキープする
本来、舌は上顎にピッタリとくっつくように収まっています。口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)はその動きを意識的に行い、舌が正しい位置に収まるようトレーニングします。
最初は舌を正しい位置に置くことが大変かもしれませんが、繰り返し行えば徐々にできるようになっていくでしょう。
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は起きているときは常に実践することが理想だとされています。具体的には1日8時間以上舌の位置をキープできるようになれば、舌の筋肉が鍛えられて徐々に顔貌に変化がみられるようになります。
まずは1日数分から始めてみましょう。
注意点・コツ
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は舌を適切な位置に置くことが非常に大切です。
長期間続けていても効果が実感できない場合は、舌の使い方が間違っている可能性があります。
舌の前方や中央部分ではなく、舌の後方で上顎を押すことを意識してみてください。
舌が動く感覚がつかみにくい場合は、一度自分の親指をしゃぶってみると、舌が奥へ動く感覚がわかりやすくなります。
なお、口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)の効果は長い期間をかけて非常にゆっくりと現れるものです。
すぐに劇的な変化が現れることを期待していても思うような効果は得られない可能性が高いため、矯正治療の代わりにはならないことも理解したうえで矯正歯科専門医の指導のもとで行うことが大切です。
まとめ
口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)は舌の位置と姿勢を正すことで、顎と顔面の正常な発達を促進するトレーニングです。舌を押し出す癖や口呼吸などによって起こる不正咬合を予防・改善できる可能性があります。
大人でも根気よく続ければ顔貌の変化を実感できますが、できるだけ早く始めることが重要であるため、子どものうちから口腔筋機能療法(MFT:ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY、ミューイング)を取り入れることをおすすめします。
『青山表参道矯正歯科クリニック』では、矯正治療を専門とする歯科医が患者様一人ひとりの骨格に合わせた機能的で美しい歯並びになるよう丁寧に診察を行い、最適な治療をご提供いたします。
当クリニックでは、カウンセリングは無料で行っておりますので、歯並びが気になる方はぜひ一度『青山表参道矯正歯科クリニック』までご連絡ください。
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